第12回複言語・複文化WS終了報告「わたしたちをかたちづくる言語と文化―2つのツールで体験を描き、語る―」(202508WS12)
- JMHERAT
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- 8月31日
- 読了時間: 4分
第12回複言語・複文化ワークショップ
わたしたちをかたちづくる言語と文化
―2つのツールで体験を描き、語る―
2025年8月31日(日)に第12回複言語・複文化ワークショップが終了しました。バンコクで対面で実施した今回のワークショップの参加者は、全員で17名でした。親と教師、学生たちが、共にそれぞれの複言語・複文化体験を言語マップで、周囲の人々との言語や関係性のありようを関係性マップで描き、語り、共有しました。参加者の内訳は以下の通りです。
大人 | 保護者 | 5名(教師でもある方3名) |
教師 | 9名(大学、インターナショナル校、教育実習) | |
学生 | 高校生 | 1名 |
大学生/大学院生 | 3名(タイ在住者2名、タイへの留学生1名) |
今回は様々な属性の方が混ざったグループで言語マップ・関係性マップを作成し、ご自身のことを共有していただきました。その後、テーブルにマップを並べ、異なるグループの人や、同じ属性の人の語りを聞き、共有しあう場を設けました。日本とタイを移動する子どもたちの話だけでなく、タイに長く住む日本人や日本に長く住んだタイ人の語りも共有されました。
この報告では、ワークショップの概要と参加者の感想をご紹介し、ワークショップの様子を写真でお伝えします。
■ワークショップの概要
プログラム概要 | |
12:00 | ワークショップ開始 ・参加者紹介、代表挨拶等 ・これまでのWSの説明、本日のWSの趣旨、進め方 ・「複言語・複文化」とは ・グループ内自己紹介 |
12:20 | 言語マップの意図と説明 |
12:26 | 言語マップ活動(写真1) 1.言語マップの作成 2.幸せシール・大変シール貼り 3.自分の言語マップの説明 4.感想記入 |
13:45 | 言語マップ活動のまとめ |
13:41 | 休憩 |
14:00 | 関係性マップの書き方説明 ・どの時代の関係性マップを描くか |
14:15 | 関係性マップ活動(写真2) 1.関係性マップの作成 2.自分の関係性マップの説明 3.感想記入 |
15:05 | 作成した言語マップ・関係性マップの共有(写真3) 1.ツールの共有① 背景が異なる人の語りを聞く 2.ツールの共有② 同じ背景の人の語りを聞く |
16:00 | 全体まとめ(写真4) |
16:15 | 感想記入 |
16:20 | 今後に向けて / 終わりに |
16:30 | 終了 |
17:00 | 親睦会 |
写真1 言語マップ活動


写真2 関係性マップ活動


写真3 作成した言語マップ・関係性マップの共有


写真4 全体まとめ



■参加者感想
全体感想より
タイに14年もいるのにタイ語もろくに話せない、ネガティブにしか自分をとらえていませんでしたが、日本語でタイで様々な関係の広がりを持つようになったことが私のもっている複文化能力なのだと認知することができて、自分に自信を持つことができました。(保護者)
マップで書いたものが、すべて「私の資源」だと肯定できるのはとてもうれしいと思いました。(教師)
「部分的能力を認め、それを総動員する」ということを自身でまずは考える機会になった。それを学生と一緒にやるとしたら、どうできるかなということを引き続き考えたい。(教師)
言語マップの感想より
自分が気づいてないことを気づいた。あらためて、人生を俯瞰的に見た。(保護者)
人生のうれしい楽しい/落ち込むなどの感情が言語と強く結びついているなと改めて思いました。人間関係も感情に強く結びついていて、それがうまく行くかの決め手になるのが言語(コミュニケーションツール)だと思います。どんな言語であれ、人とコミュニケーションが取れれば、どんなレベルであってもいいと思いました。(学生)
まず、久しぶりの工作がとても楽しかった。紙を切って、どういうふうに貼ろうかな…と考える時間が、自分のことを振り返る時間になった。当時の場面が次々に思い出されたのが印象的だった。共有の時間に、話すことも話を聞くことも楽しく、わくわくした。時代も場所も違うのに、感情や経験など共感できることがたくさんあった。話を聞いてもらえるのも嬉しかった。(教師)
関係性マップの感想より
誰と何語を使って話しているのか可視化すると、意外と決まった人としか話していないなと思いました。私は英語を使いすぎて疲れることも多いので、やはり日本人のコミュニティが多いなと感じました。もう少しいろんな国籍の人たちと友達になってみたいです。また今ある友人たちとの貴重な友好関係を保っていきたいです。(学生)
自分自身の人間関係と言語、心理的な近さを可視化する機会は初めてでしたが、自分がどのような人間で、どんなコミュニティの中で生きているのかを考える良いきっかけになりました。同じような境遇の人と悩みを共有できる、アドバイスを送り合える素敵な場だなと思いました。(教師)
今回は初めて関係性マップを描いたが、自分と境遇が近い相手が話し相手として欲しいのだと気がついた。グループ内で、友人との関係性について話が挙がったが、会う頻度が高くても友人と呼べない関係の人が多く(ただの知り合い?)、友人の定義や考え方の違いも面白いと思った。(教師)



