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第1回オンライン複言語・複文化WS終了報告「世界で子育てをする親たち、集まれ~!ー自分の言語経験の振り返りからー」(202502onlineWS1)

  • 執筆者の写真: JMHERAT
    JMHERAT
  • 2月1日
  • 読了時間: 5分

更新日:7月7日

第1回オンライン複言語・複文化ワークショップ


見つめよう子どもの姿、考えよう子どもの現実

世界で子育てをする親たち、集まれ~!

ー自分の言語経験の振り返りからー


日時:2025年2月1日(日)日本時間15:00-17:00

会場:オンライン(Zoom Meeting)

参加者:9名(3か国より)、運営委員6名

対象者:・日本国外で子育て中の保護者

    ・日本国外で子育てした経験がある保護者

    ・日本国外で子育てする予定がある保護者

    ※国際結婚かどうか・子どもの年齢は問いません。


JMHERATではタイで対面にて複言語・複文化ワークショップを実施していますが、今回新たな試みとして、世界を移動する、日本につながる家族の保護者を対象にオンラインで実施しました。

第1回の実施にあたり、世界を移動する、日本につながる家族にとって、日本国外で生きる/生きてきた子どもに寄り添おうとしても、親である自分の過去と重ね合わせて考えることができず、難しさを感じることがあるのではないかと考えました。そこで、このワークショップを保護者自身のこれまでの言語経験を振り返り、自分自身を複言語・複文化の視点で捉え直す機会になるよう、言語マップ活動を行うことにしました。当日は、各自が作成した言語マップを用いて自分がいつ、どの場面でどの言語を使用してきたのかを振り返り、その経験を他の参加者と共有しました。


■ワークショップの概要

15:00

はじめに

「複言語・複文化」について知る

15:25

「言語マップ」活動

  • 言語マップを作成する

16:10

  • 言語マップを説明する/他者の言語マップの説明を聞く(グループ内共有)

  • 気づきを書きとめる

16:45

まとめ

17:00

終了

17:00-18:00

親睦会(自由参加)

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参加者の感想の一部を紹介します。


◎言語マップを作成してみて

  • 自分のこれまでの言語生活を振り返る大変意義のある体験でした。

  • 初めて言語マップを作成してみて、自分の言語環境を通して思考や行動が変化してきていたかもしれないと、気づきました。面白いです。


◎他の参加者と互いの言語マップを説明し合って

  • 自分は在住国で言語が切り替わった。他の方は、生活や対人、学校、職場によって複雑に変化、増減していた。言葉は生活の一部なんだなぁと可視化されたマップを見て感じた。自分の子供がこれからどんな言語マップを作っていくのか楽しみだ。


◎「複言語・複文化」について

  • 複言語・複文化という概念を初めて知りました。他人を何人(外国人)、何語を話す人、と型にはめて単純に一括りしがちですが、個人が経験してきたことを全て認めて個人を尊重していくという、素敵な考え方だと思いました。子どもたちにもそういう目線で伝えていけたらいいなと思いました。

  • 今や日本にも多くの外国人が訪れ、住んだり仕事をしたりと日本語だけのしきたりやルールだけで生活をしてきていた昔の日本と環境が変わりつつあるように思います。それだけに、複言語、複文化という考え方は言語の能力だけで「外国人」と区別しがちな私たち日本人にはとても大事な概念だと感じました。

  • 「言語教育は表層的な言語指導ではない」という部分が強く刺さりました。複数の言語を不自由なく操れることがゴールなのではなく、言語の裏側にある異文化への理解、好奇心、楽しむ心が重要で、それこそが親が足掛けをして育んでいくべきものだと感じました。


◎ワークショップ全体を通じて

  • 様々な場所や環境、背景で日本語について考えておられる皆さんの様子が学べ、とても有意義な時間でした。

  • 自分の複言語を可視化できて、自分もがんばってるんだなぁと自分を労うことができました。

  • 実際、自分の言語マップを作成したことで、自分の持つ言語資源の価値を改めて認識できたと思います。第2,3言語については、「より上手に使えるように」と考えがちですが、今の状態でも貴重な資源であることを再確認でき、自信につながりました。また、「複言語・複文化」についても、ご説明を通じて今回はより明確に理解でき、とても嬉しく思います。これまで言語は社会的な視点で語られることが多かったですが、個人の資源としてその価値を大切にする考え方に大いに共感しました。


■運営委員の学び

北米、アジア、ヨーロッパからの参加者をお迎えし開催した今回のワークショップでは、ご自身の移動経験、お子さんの年齢も様々な方にご参加いただきました。

運営側として、いくつかの大きな学びがありました。

  • 保護者がまず自分自身にフォーカスを当てることで、子どもの現実に目が向くようになったこと。 自分の通ってきた過去、自分が経験している今を可視化し、他の参加者の発表を聞くことで、それぞれが複言語・複文化を生きていることの気づきがあったように感じます。

  • 互いの経験を言葉にし、シェアすることで、今の自分を肯定的に捉え直すことができたこと。 「言語資源としての自分自身の経験」に光を当てる時間が、自信や安心感につながっていたように感じました。移動の数や住んだことのある国の数は一見、特別なもののように見えますが、そうではなく、自分だけの経験に価値づけすることができたように感じます。

  • 異なる年齢の子どもを育てる親同士が語り合うことで、見えてくる新しい視点があったこと。 子育てを外国でする大変さに共感し合い、子どもが産まれて使用言語が変わる現実があることに気がつきました。異年齢の子育てをするそれぞれの経験が未来の子育てのヒントとなることを実感しました。


懇親会では、参加者と運営者での活発な意見交換が行われ、有意義な時間を過ごすことができました。


今回のワークショップは自分の言語経験を描くものでしたが、自分の過去を、「あぁ、この時大変だったな」「大変だったけど楽しい時期だったな」「苦しかったけど、幸せでもあったな」などと感じながら振り返ると、自分の通ってきた軌跡が愛おしいもので唯一無二の貴重な経験だった感じられると思いました。親が自分自身を複言語・複文化の視点で捉え直すことで、子どもの現実を見る視点が養われていくことを願います。ぜひご家庭で子どもの言語マップも作り、語り合ってみてください。


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次回は10月頃の開催を検討しています。今回の言語マップとは別のツールを使用する予定です。

今回参加された方も、そうでない方も、お会いできることを楽しみにしております。


JMHERATオンラインワークショップチーム


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