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日本の小学生の「持ち物」とそこから見えてくる学校文化、わくわく一年生の入学式から毎日の生活まで 〜日本部会活動を通じた気づきと想い(20240519JPAC02)

日本部会企画模索活動

お互いに学ぼうシリーズ2

-日本の小学校生活編-

รู้จักฉัน รู้จักเธอ  ตอน: ชีวิตประถมในโรงเรียนญี่ปุ่น


日本部会の企画模索活動第二弾は「お互いに学ぼうシリーズ2:日本の小学校生活編」です。二人の運営委員が事前にまとめた小学校生活についてのプレゼンテーションをもとに、タイ日バイリンガルで進行しました。前回2024年2月23日の「タイの小学校生活編」の続編となる今回も、参加者・運営委員双方から終始活発な質問やコメントが続き、あっという間に終了してしまいました。この活動報告では、当日の活動内容などについて報告します。

この活動の終了報告はこちら


参加者:ホームディー夫婦(夫:ベンツ(タイ)・妻:りり(日本)※)

運営側:日本部会運営委員5名、JMHERAT代表、

※ ホームディー夫婦の妻は運営委員

運営側:日本部会運営委員5名、JMHERAT代表

 まず、冒頭の自己紹介では、参加者・運営委員各自にとっての、

小学校時代の給食・お弁当についても語ってもらいました。誰もが語れる楽しい思い出を全員で共有することで、本日のテーマに入りやすくするためでしたが、一人一人の体験談が、聞いている人にとってはそのまま興味深い学びの機会にもなっていました。これは、その場にいる皆が情報を与え合い、また、その場にいて楽しい、と思える和気藹々としたコミュニティー感を醸成することにも繋がったように思えます。たとえば、誰かが嬉しそうに「揚げパン」が好きだったと言うと、他の人も連鎖反応的に「揚げパン」話で盛り上がったりしました。


これが日本の小学生の持ち物?…決まりとかも多くて、子どもも親も、毎日、毎週、毎年…たいへんだね

 今回の前半のテーマは「小学生の持ち物」でした。現在、日本の小学校に通う子どもの母親でもある運営委員が、小学生の「ある日の持ち物」、「筆箱の中、お道具箱の中」、「学年別で必要になる物」といったスライドを見せながら、話を進めました。その内容は教科書・教具類、家庭と学校を結ぶ連絡張、衣類他の身の回り品など、多岐に亘りました。「(日本の)学校には細かいところがあるので、はじめてお子さんを入学させる海外からの保護者ですと、そ

の内容に驚いて、理解したり持参物を準備したりするのに時間がかかる」だろうという司会(タイ人)のコメントは、持ち物について報告をした日本人運営委員自身の「調べてみて思っていた以上に持ち物…が多く驚」いた、「…馴染みのない保護者にとっては、物の準備だけでもハードルの高いことだと思」ったという感想とも重なるものでした。

 また、一つ一つの持ち物の具体例や決まりごとなどについて聞いていくなかで、日本の学校文化も見えてくることも多々ありました。たとえば、鉛筆の種類や本数など、筆箱の中身までが細かく指定・管理されていたり、持ち物一つ一つに名前を記入するようにとの指導、また子ども達が授業中に鉛筆削りで遊んだり散らかしたりするのを避けるために、学校では鉛筆削りは使わせない、などの教師による先回り配慮や整理整頓の徹底などです。

 さらに、学年が変わるごとに必要になる物(楽器類、定規類、習字セット、辞典類…)も増えていき、毎年毎年、いろいろな物を揃えるだけでも大変そうでした。そのうえ、通算していくと、それらの購入経費もかなり高額になることなどから、公費による支援についての質問が出てきたりしました。どんな持ち物が必要かを知ることは、同時に、持ち物調達の現実的な方法や難しさ、社会的文脈にも繋がっていたのです。

 このように、具体的な持ち物一つ一つに注目していくことで、実はメタレベルでの日本の学校文化や社会の仕組みへの理解へと進むこともありました。日本部会の場で、子どもに必要な「物」の背景を知ることから、より深い社会的文脈や指導のねらいについてまで学びの幅を広げていけるようにするためには、その場で興味を持った誰もが、対等の立場で自由に質問をしたり意見を述べたりできる、協力・協働による対話の場、つまり「語り場」の質が重要であったように思います。


ふれ〜ふれ〜一年生:

入学式から、毎日の生活まで(ママもパパもふれ〜ふれ〜!)

 後半では、現役の小学校教員でもある、もう一人の運営委員が、親にとっても子どもにとっても、日本での学校生活での最初のチャレンジとなる小学一年生の様子を中心に、子どもたちの日々の生活、そして、保護者・親御さんに期待されている役割等にも迫ってみました。

 はじめは入学式当日の様子からです。子どもも親もわくわくする小学校での初日ですが、実は、それだけではありませんでした。教室の机の上には、初日から保護者への手紙、親が記入する提出物など、大量の書類がピカピカの一年生を待ち受けています。日本語が堪能な親でも対応の難しい場合がある中、日々、日本語と苦闘する外国人の親にとっては大いなる困難が予想され、支援を得られることが望まれます。

 続いては、日々の生活で重要な役割を果たす時間割(一日の予定や、特別の時間などへの理解、学年が進むに連れての変化)、給食・配膳、そうじ等、日本の小学校での学習や生活の様子が共有されました。その中で、給食やそうじが、単なる食事や清掃の時間であるだけではなく、それぞれが子ども達が生きていくための基本的なマナーやスキル、決まりについての理解や共同作業の力を身につけるための教育の機会でもあることが理解されました。

 最後に取り上げられたPTAに関しても、奉仕作業やバザーの開催など、学校から一定独立して活動することがママ、パパに期待されている場合もあることが説明されました。


 参加者・運営委員ともに、各自が自分自身のタイや日本等での子ども時代の経験に思いを馳せ、今の日本の小学校生活と比べたりしながら話に聞き入り、また活発に質問をしていました。たとえば、遅刻への対応、校庭等の校内施設の放課後の使用禁止、学校に持ってきて良い物とダメな物、「勉強と関係ない物」持込み禁止の功罪、下校の仕方等々、時間さえあればいつまでも話が続きそうな様子でした。これらの報告・話し合いの全体を通じて、学校側の教育的配慮、また、細かい管理教育のありようも含めて、学校に通い、そこで学ぶ子どもたちの生活の様子や、日本の学校文化も浮かび上がってきました。

 タイ人にとってはタイと日本との違い、日本人にとっては自分達の子ども時代とのギャップが強く意識されたようです。今回の活動でよかったことの一つは、前回の活動で、ある程度タイの小学校についての共通認識ができていたため、タイ日比較の話し合いがうまく噛み合っていたことでしょうか。また、事後アンケートに寄れば、タイ人の参加者・運営委員で、日本の学校についてあまり知らなかった人の間では、非常に細かい決まり事や規律、整理整頓の大切さなどが、日本の学校の特徴として意識されたようでした。さらに、日本ではタイの場合と比べて、親に求められていることが多いという感想もありました。では、タイ人の親・保護者はどうすれば良いのか、というところまではここまでの回では、なかなかカバーしきれていないのですが、それらも、今後の課題になるかもしれません。


 

 今回は、現在子育て中の親や、現役の小学校教員である運営委員達が用意した、「今」の学校生活についての具体的で詳しい資料を軸に活動を進めましたが、現実と実体験に即した資料の迫力とその大切さ、面白さにあらためて気づかされました。

 また、前回の「タイの小学校生活編」同様、今回も参加者・運営委員/報告者との協力・協働による対話を軸に進行しました。そのため、報告を聞く側だけではなく、報告担当の運営員にも多くの学びがあり、それは「みなさんにいろいろ質問していただいたことで、再度、日本の教育や自分自身の子どもや親への働きかけなども、考えるようになりました」、「教員でない方々との交流や意見を聞く機会が必要であると感じました」といったアンケート回答にも反映されていました。

 以上、今回までの活動は、ごく限られた範囲ではあるものの、その場に集う皆の学びの場、語りの場として、曲がりなりにも機能しうる「何か」に近づきつつあるように思われます。近いうちに、この場を公開活動にしようと考えています。乞うご期待ください。



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