みつめよう子どもの姿、考えよう子どもの現実
多言語・多文化から複言語・複文化へ タイで育つ子どもたちを、新たな豊かさへ繋げる視点
第1回複言語・複文化ワークショップ報告
参加者の感想
電車で15時間かけてサコンナコン県から参加された佐藤さんからの感想です。
ワークショップに参加して 佐藤賢一
8月28日、複言語・複文化をテーマにしたワークショップに参加しました(「タイにおける母語・継承語としての日本語教育研究会」主催)。今年1月の深澤氏の講演を聴いて、バンコクバイリンガル教室の実践を知ったことがきっかけとなり、継承日本語教育についてもっと知りたいと思ったことが大きな動機です。
まずは、このテーマについて、多くの人が同じような想いをもってタイで生きているいることを感じ、心強く思いました。そして、同じような立場で、でも、多様な意見を交流できたことは大きな意味がありました。ふだん日本語で話すことがほとんどないイサーンの田舎に住んでいますので、とくにそう感じました。いろいろな人の意見を聞きながら、少しずつ自分なりの考えをまとめることができたと思います。今までも、そして、これからも、立ち止まっては考えながら子育てをしていくと思いますが、「ぶれてもいい」という意見はとても心強い言葉でした。今までは、タイで生きることを選択したのだから、少しもぶれることなく生きなければならない、といった呪縛のようなものがありました。「ぶれは気づきのチャンス」、素敵な言葉です。
ところで、今まで、わが子の母語のことについてはよく考えてきたつもりですが、日本語とタイ語のどちらを選択するか、といった考え方が私の中では強かったように思えます。一人の人間の中に2つの言語や文化があって、それらが融合しながら、絶えずアイデンティティが変容していくものであるという考えは、今までの私にはなかったものです。この柔軟な姿勢は、わが子の自己肯定観にもつながる重要なものだと思います。今後、わが子には周囲からの期待やプレッシャーがあるものと思われます。その中で、日本人とタイ人のハーフであるがゆえに、悩んだり迷ったりすることもあるのではないかと思われます。ただ、素敵な自分であることが実感でき、自分の力で前向きに未来を切り開いて一けるように、親が子どもをしっかりと受け入れていきたいと思っています。
そして、日本語教育の面でも、参加者のみなさんの意見を聞いて、日本語を教えこむことは、メンタルの面でも親子関係の面でも決して効果的ではないということは、私も同感です。必要感を感じさせながら、楽しく豊かな経験をもとに日本語の能力を伸ばしていくことを模索していきたいと思います。日本にいるお祖父ちゃんやお婆ちゃんとのかかわりも、重要だと思います。
ワークショップ後の懇親会にも参加しましたが、ホアランポーン駅20:00発の列車に乗るにも関わらす、もっともっと話がしたいという気持ちから、7時半近くまでいてしまい、バイクタクシーで駅まで爆走することになりました(急いでいるようなそぶりは見せないように努めましたが、面白いもので状況は伝わったようです)。今回のワークショップのように学びあったり話し合ったりする機会がありましたら、またサコンナコンから駆けつけたいと思っています。ありがとうございました。
他の参加者の感想は後日アップします。