みつめよう子どもの姿、考えよう子どもの現実
タイで育つ子どもたちを、
新たな豊かさへ繋げる複言語・複文化の視点 第2弾
ードラマ・ワークショップー
2012年8月25日に終了した第2回複言語・複文化ワークショップードラマ・ワークショップーのご報告です。
昨年は言語マップを作って、自分と子どもの複言語状況を再認識しました。今年は文化に焦点を当て、参加者が日ごろ感じている複文化ゆえの「違和感・困難点」をドラマ化しました。ワークショップの流れは「複文化だからあるエピソードを話し合う→ドラマ化→見ている人が途中で介入→意見交換」です。登場人物になって語ることで自分の中にある文化意識を言語化し、人の介入によってさらに再言語化し、文化観を捉え直すのが目的です。
◆各グループのドラマの大筋
1グループ <規則を守らない/給食を食べずに菓子を持参>
保育園で子どもが給食を食べない。タイ人母が菓子を持たせて困る。日本人父に電話で連絡。夫婦の話し合い。保母さんからは様子を連絡することで、母も安心し持参させる菓子は減ってきた。
2グループ <連絡をしない/規則を守らない>
幼稚園で子どもが2週間くらい欠席。母親に連絡しても、いつから出てくるか不明。タイ人先生2名も連絡もなく遅刻。理由は病気と渋滞。
3グループ <連絡をくれない>
高校で母の日に赤い服を着ていって、会場から出されてしまった日本人教師の話。みんなは青い服を着ていたが、なぜ連絡をくれなかったのか。その教師は、前もって先輩の偉い先生にどんな服を着るべきか聞いたら、赤と言われた。
4グループ <相手をがっかりさせまいと小さなウソをつき目の前をやりすごそうとする> 子どもの誕生日だが、約束の時間にタイ人夫が帰ってこないので、日本人妻は電話をすると、今、出たところだという。しかし、まだ会社におり、その後、デパートでプレゼントを買って帰ったため大幅に帰宅が遅れた。妻は怒るが、夫はみんなが楽しくしているのに何故怒るのかわからないという。
◆参加者の感想
・タイに住んで感じた違和感も、実はすべて自分の世界観に基づいているという事実。あきらめとはまた違う。相手との共存について、どのように歩みよりをしていけばいいのかを考えるきっかけになりました。(Sさん 保護者) ・ワークショップに参加して、初めてドラマ形式で自分たちで演じてみて、国に関わらず、人と人が分かり合うことの難しさということを、改めて感じた。はじめは、タイだから、日本だからということにとらわれていたが、ドラマを見ていくうちに、そうではなく、誰にでもありうることだと思った。(Kさん 教育関係者) ・どの事例もつきつめれば国の文化の違いではなく、個人の考え方の違いなのかなと思いました。今日は外国に住む日本人の視点からでしたが、逆にタイ人や他の国の人が日本人とのコミュニケーションにどんな困難を抱えているのかも知りたいです。あと、複文化を持つ子どもたちも両親の文化が違うことで、どんな事を問題だと考えているか聞いてみたいです。(Iさん 保護者)
ドラマ場面
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意見交換 休憩
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このWSの詳細は、以下、ご参照ください。
深澤伸子・舘岡洋子(2018)「私が私に向かう自己表現活動ータイにおける複言語・複文化ワークショップー」石黒広昭編『街に出る劇場ー社会的包摂活動としての演劇と教育ー』新曜社, pp.91-104.
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