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複数の言語と文化で育つ子どもの事例から考えるー自分の身近にいる子どもたちの事例からー(201202勉強会01)

勉強会では複数の言語・文化の間を移動しながら成長する子どもの問題を具体的事例から考えます。今回報告された事例は5歳の国際結婚児とインターナショナル校に通う子どもたちの例。


− 参加者の感想 −


参加者感想1

 

子どもにとっての「移動」の意味を初めて考えさせられた。 英語で学習するいわゆるインターナショナルスクールの日本人生徒たちのことです。親の事情でいろいろな国に連れて行かれそこで自分はずっと住むのかな、という感覚が生まれた頃に根こそぎ環境を変えられて自分のidentityを喪失し戸惑う子供たち。親には言えない苦悩が子供の数だけありそうでした ある事例では、米国に父親の転勤で住むようになり小学校生を過ぎ高校迄大きくなった男の子。彼は漠然とだけど自分はずっとアメリカに住んでやがてはアメリカで就職するんだと思って生きて来た。ところがある日突然タイに転勤で抗うことも出来ず住み始める。   一生居るくらいに思っていたアメリカは子供の彼の心の中では戻れない国となりました。 『駐在家族』ということは頭で知っていてもカウントダウンしながら住める訳ではないですからね。戻れないアメリカ。タイは好きじゃあ無い。 記憶にはあまり無いけれど早く日本に帰って静かに暮らしたいと考える今の彼。 インター校生ではありませんが。 小学低学年のタイ人男の子が日本のある地方に訳あって住むことになりました。 住んで半年。言葉もできず周囲の先生に反発し粗暴な行動が目にあまり頭に障害のある子だと学校では認定しようとしたそうです。その子の肩を押さえつけてでも勉強させようとする担任の先生。 噛み付く生徒。校長先生と教頭先生には会えば頭突きをお腹に食らわせる生徒。 桃太郎の本を毎日読み聞かせる学校外のおじいさん。彼の服は毎日ぼろぼろで汚れていたそうです。タイ語のわかるボランティアが訪問し、初めてタイ語で胸の内を語る男の子。 毎度体を拘束してでも勉強させようとする先生の名前は覚えておらず大嫌い。声をかけてくれる校長と教頭先生は大好き。でも言葉が無いから頭から突っ込んで行くしかなかったそうです。桃太郎の朗読をしてくれるおじいさんに手紙を書きたいから日本語を教えてくれと言ってその場で書き始める子供。知らない国に突然連れてこられ言葉がわからないため興奮状態となった男の子は毎日服がぼろぼろになるほど走り回っていたそうです。 私もかつて娘二人をタイに呼びました。 会社の費用でインターで高度な教育を受けさせることができるという利点以外はあまり見えていなかった父親だったことに気づきました。特に子供の戸惑いの深さと失ったものに。 私の道場には親の事情でタイに住んでいる子供がたくさんいます。 甘やかせる訳ではないけれど子供の苦労や苦悩を感じ取ってやる大人でいるにはどうしたら良いのか考え始めています。 (真殿)

 

参加者感想2

 

幼児のケース二つを見て。 両極端な事象なのにもかかわらず、「関係性」という言葉で切り取ってみると、発育環境の影響が極端に出てしまったケースとしてはまったく同じ原因だったのだなと感じました。 知人経由でも、外部との交流を嫌った親の子供の話を聞いたことがありますが、似たような感じなのかもしれません。 また、勉強会の一週間後にプライベートで似た問題にあってしまったのもあり、自分の子供はできるだけ「人間にまみれさせて」育てたほうが良いのかなと感じました。 この制限の多すぎるバンコクで「オープンな環境を作り、地域で子供を育む」ことができるようにしたいな、と思いますが... (江坂)

 

参加者感想3

 

多言語多文化環境の高校生の現状について 言語の習得は、言語スキルの話ではなく、社会(=周囲)とのコミュニケーション手段の習得を指すわけです。年齢によりA:就学前の社会、B:就学中の社会、C:就職後の社会に大別できるかと思います。Aは親がBは先生や友達が密接に関わり、子供たち自身の選択余地も狭い、ある程度閉じた社会と言えます。Cは様々な選択肢があり、自立を求められる厳しさもある、ある意味自由度のある社会です。 B(⇒大学進学)⇒Cの過程において、多言語多文化の環境で育つ子供たちは、 (1)マイノリティであるがため、単言語単文化の子供達が通常得られる情報や過程と同等かそれ以上のものを得られる機会があるか。(進学・就職相談、情報収集、OB/OG訪問などの機会、それらの質と量) (2)単言語単文化の親たちが子供たちの置かれている環境におけるCについて、深く理解し、子供たちに多くの選択肢を提示していけるのか。(B⇒Cにおける親の影響はまだ大きいと考える。) (3)単言語単文化の環境で育つ子供たちより、実際Cの選択肢が多いのか少ないのか。 今回のお話を聞いて、以上のようなことを今後掘り下げていければと考えました。 (池原)

 

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