top of page

複言語・複文化を生きる7人の語りー語る意義・聞く意義ー:言語マップ(201908WS06)

みつめよう子どもの姿、考えよう子どもの現実


親と子どもの話を聞こう

ー複言語・複文化を生きる7人の語りー


これまで4回にわたり、2019年8月25日に開催した第6回複言語・複文化ワークショップの報告をしてきました。


 

・第1回報告:ワークショップのプログラムや全体の様子、参加者の方々の感想を掲載。


・第2回報告:複言語・複文化を生きる子どもの語り第1弾。BさんとDさんの語りを掲載。



・第3回報告:複言語・複文化を生きる子どもの語り第2弾。AさんとCさんの語りを掲載。



・第4回報告 :  複言語・複文化を生きる子どもの親の語りと各ブースでの質疑応答を掲載。


 

最後となる第5回報告では、「語る意義・聞く意義」について、語り手、聞き手、ファシリテーターそれぞれの感想をもとに考えていきます。

 
【語る意義】

子どもの語り手:

  • 自身にとって普通で当たり前のことでも、人にとっては違っていて興味をもって聞いてもらうということは新鮮だった。 (語り手Cさん)

  • 語り手として自分の経験を他人に話せて、それが少しでも役に立てたのなら、今日ここに来て語れてよかった。(語り手Aさん)

  • 話すことで自分を見つめ直した。同じ話をしても聞く人によって捉え方は違う。だから、聞く人によって語る焦点も変わってくる 。(語り手Cさん)  

  • 過去を振りかえることができた。整理ができた。(語り手Dさん)

  • Looking back and reflecting of my life, I felt my life's plan is funny and weird. However, because of that, It made me who am I today and I shouldn't be ashamed of it . Now I can magnify my ability of knowing 3 different languages and cultures and utalizing that in my everyday life. My adaptability skills to any cultures is helping me everyday.(語り手Bさん)


ワークショップ終了直後に子どもの語り手に語ったことの感想を聞きました。語りを準備する中で自らを振り返り整理することができ、当日聞き手の前で語ることにより、聞き手がいてこその語りが生まれていました。また、聞き手からの質問により自分を客観的に見ることができていました。そのことにより、さらに自らの人生の体験を振り返るきっかけになったようです。


大人の語り手:

  • 発表に向けて2年ぶりに再会した息子と今までの人生を振り返り、たくさんの話ができ、いろいろなことに気づき、これからの息子の人生、自分の人生について深く考えることができた。(語り手Gさん)

  • 聞き手がいて、その人たちの質問によって、自分でも気づかなかったことに気づけた。(語り手Eさん)

  • 語るために娘に聞いた。(語り手Fさん)

  • サタディスクールに入れたのは英語のためじゃなかった。でも周囲の人に英語目的だったように言われることで忘れていた。子どもにとってほっとする場所を作りたかっただけ。人に言われているうちに違う意味づけになっていた。(語り手Fさん)

  • 事前のインタビューでファシリテータが聞き直したことはひょっとしてほかの人も興味があるのかなて気づいた。自分の体験のどこに意味があるか、ファシリテータの反応によって自分の体験に意味づけがされた。(語り手Fさん)


語り手が大人の場合、語り手の親が過去や現在のことを子どもに聞くことで、語り手が聞き手にもなり、子どもの体験や考えを再認識するきっかけになったようです。当日の語りセクションでは、子どもの語り手同様、聞き手からの質問により自分のストーリーを客観的に捉えることに繋がったようです。また、語りを準備する段階では、ファシリテータとのやりとりによって、自分の体験が言語化され、他人から言われて元来とは違う意味付けになっていたものの再認識( 引き出された記憶?蘇った記憶?再生され記憶?)にもなっていました。

 
【聞く意義】

聞き手の感想から

  • 私にとって2人の話はこれから生活していく中、参考にすごくなると思いました。自分にも共通するところもあるので、すごくいいと思いました。

  • すごい日本語が上手でびっくりしました。読み書きもできて、私もおねえちゃんみたいになりたいです。


ダブル当事者にとっては、語り手がロールモデルのように感じることができていました。


  • มาที่นี่เพราะกังวลเกี่ยวกับอนาคตของลูก การเรียนหลายภาษาจะสับสนมั้ย วัฒนธรรมที่แตกต่าง การควั่นแกล้ง ความขัดแย้งทางจิตใจ พอมาแล้วได้เจอเคสต่างๆกัน ป.ห.หรือสิ่งที่เจอผลก็ต่างกันไปด้วยแต่ก็ทำให้เบาใจขึ้นเพราะก็ได้คำแนะนำและมีผู้คนเคสเดียวกันที่ผ่าน ป.ห.มาได้(子どもの将来について心配なため、ここに来ました。複数の言語を学ぶと混乱するのかどうか。異なる文化、いじめ、心の葛藤など。来てみると、いろいろなケースに会い、問題や結果も人それぞれでした。でも、アドバイスをもらったり、同じような問題を乗り越えてきた語り手にあったりして、心が軽くなりました。訳:運営委員)

  • 子どもたちがどのように感じ、生きてきたかの過程を追えたことは、今後育てていく親の立場として参考になりました。

  • 子どもが3歳なので、今後の成長を深く考えるきっかけとなりました。

  • 普段、家庭と仕事のみの生活で自分の視野が狭くなってましたが、本日ワークショップの機会を持ったことで、新しい刺激となりました。  

  • 一人で考え悩んでいることに、たくさんの同士!?や経験者、先輩がいるんだという心強さ、この悩んでる自分でいいんだという肯定感、自分は自分の道を選んでいいのだと、たくさんの応援を得ました。 

  • 私はタイ人の妻がいて、子どもが産まれれば子どもは複雑な言語環境、文化環境に身を置くことになります。自分が子どもができた時には、子どもにとって何が良いのかをより考え、行動しなければならないと思うきっかけを与えてもらいました。


保護者にとっては、語りを聞くことによって、複言語・文化環境での子育ての不安が軽くなったようです。また今後の子育てについてついて考えるきっかけになったようです。


  • 私の学生にも父と母で国籍が違ったりする学生も多く、そのような学生にどのように関わったらいいのか考えるきっかけになりました。

  • 体験者の方の話を聞くことも、今までの自分の中にないものに触れる貴重な経験となりました。

  • どちらも自分にはない経験なので、貴重なお話が聞けて良かったです。


教師にとっては、語りを聞くことで、自分にはない経験に触れることができ、様々な背景を持つ学生との関わり方を考えるきっかけになったようです。



ファシリテーター

  • 話の内容だけでなく、話し方や雰囲気といったものも含め、聞く過程の中でBさんの経験を感じることができたように思います。また、Bさんが私と年齢の近い相手で、世代を同じくしながらかなり経験の異なる二人だった点も私にとって大きな学びでした。自分がしてきたこと、考えてきたこととの違いを考えることで、移動の中で培われてきたBさんの人格や能力というものを少し深く感じることができたように思います。これも、直接会い、じっくりと話す機会が(それも複数回)あったことが大きいように思います。(Bさんファシリテーター・千石昂)

  • WS当日までに3回インタビューをし、語りを一緒に組み立てました。子どもを海外で育ててきている母親の先輩としてのFさんの話は、現在4歳の娘を手探りの中で育てる私にとって、「今後このようなことが起こるんだ」と驚きもありつつ、娘と家族の将来を重ねることができました。 国や学校を移動することによって娘さんにどのようなことが起こり、母親であるFさんがどのように対応してきたのかなど、 Fさんの語りを組み立てながらも、自分の家族のこれからを組み立てている、そのような気分になり、将来に向かっての心の準備ができました。 語りを聞くことで、自分の中にもストーリーが生まれたように感じます。(Fさんファシリテーター・藤井瑞葉)



ファシリテーターは事前に語り手と複数回インタビューなどを行いました。その過程でファシリテーターも聞き手となり、語り手の具体的な体験を語りとしてストーリー化していきました。この事前のやり取りが語りを組み立てていく上で大切だったようです。

 
【語る意義・聞く意義 まとめ】

舘岡洋子先生の感想より


今回の大きな気づきは、語りはひとりではできない、ということです。


聞き手がいてこそ、語りが成り立ち、そこで共同的にストーリーが紡がれるのだということが実感をもってわかりました。聞き手のひとことで話の内容も変わるわけですし、聞き手の関心の示し具合でも変わりますね。

そして、語り手は語りながら自分の過去の経験を意味づけているんだと思いました。ああ、そうだった、あのときはこんな気持ちだった、こういう意味があったのかもしれないな、と。


ヒューマンライブラリー(※) との最も大きな違いは、語りは聞き手(ファシリテーターなど)との間に築かれるということでした。ですから事前の ファシリテーターとのやり取りが重要でした、それは大きな発見でしたし、 ヒューマンライブラリーの語りとの違いでもありました。


※ヒューマンラブラリー(人を貸し出す図書館)

マイノリティの人々への理解を深めるため始まった活動。

困難を抱ええる当事者の語りを語りを聞き、理解し、多様な人が生きていける社会を目指す活動です。今回のワークショップはこの ヒューマンラブラリーに構想を得て企画されました。


研究会では今後も 今回のような語りを聞く活動を複言語・複文化ワークショップに中に入れていきます。 今度は自分が語り手になってみたい、と言う方はご連絡ください。

語り、聞き、対話することで、複言語・複文化を生きる私たちが、私たちお互いの生きていく資源になっていくことを願います。


タイにおける母語・継承語としての日本語教育研究会(JMHERAT)

運営委員

留言


bottom of page